スクロール圧縮機で使用されているオルダムリングでは,高速運転時にキーとキー溝との間でスラップを引き起し,激しい打撃音を発生する場合がある.オルダムリング自体が破損する場合もある.本論文では,オルダムリング・キーとキー溝との間に必ず存在する嵌合隙間を考慮して,オルダムリングの往復運動によって生じるスラップ現象について検討した.オルダムリング・キーとキー溝との間に作用する力の関係を力学的に解析し,スラップの動的挙動とそれの発生限界速度を明らかにした.さらに,簡単なモデル実験を行い,スラップ現象の発生とその動的挙動について定性的な検証を行った.