2020 年 37 巻 3 号 p. 301-
日本の寒冷地において,暖房と給湯に必要なエネルギーは高い割合を占めており,この削減は高い省 エネルギー効果が期待できる.しかし、寒冷地では外気温が低くヒートポンプの効率の低下により、普及が進まず,主に灯油が用いられている.本研究では,CO2 を作動液としたサーモサイフォン型ヒートパイプを熱回収に適用し,地中表層熱を蒸発器の熱源することで効率低下を防ぐ地中表層熱採熱にCO2 サーモサイフォンを用いる場合に考えられる性能向上への試み,例えばヒートパイプコンテナの形状,凝縮部温度の変更及び蒸発部下部への補助加熱が性能に与える影響の評価,さらに得られたデータを組み込んだシミュレーションを実施した. 凝縮部設定温度0℃の場合,コルゲート管のヒータ無し,封入率45%で最大の凝縮部熱交換量を得た.凝縮部設定温度3℃では,平滑管のヒータ無し,封入率40%で最大の凝縮部熱交換量を示した.補助ヒータを設置すると,蒸発部下部の壁面温度の上昇を抑制する効果を確認した.実測値から求めた熱伝達率整理式を用いて平滑管は長さ10mで8 本,長さ15mで5 本,コルゲート管においても同様に10mで7 本,15mは5 本でCOP=2.8 を達成した.