日本冷凍空調学会論文集
Online ISSN : 2185-789X
Print ISSN : 1344-4905
ISSN-L : 1344-4905
原著論文
アイススラリーの流動様相に及ぼす気泡と水溶液濃度の影響
松本 葵浅岡 龍徳
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 40 巻 2 号 p. 69-

詳細
抄録

水平円管内を流れるアイススラリーについて,流速やIPF による流動様相の変化に関する検討を行った.本報ではアイススラリーの流動様相における,最適な分類方法の提案をした.また氷粒子の分散と凝集に影響する因子として,気泡と初期水溶液濃度に着目した検討を行った.観察の結果から,流動様相を3 種類に区分して整理した.高流速,高IPF の条件では均質流れになりやすく,気泡を伴うアイススラリーの流動では,気泡を伴わない場合と比べて,より低流速や低IPF の条件でも均質流れに遷移することが分かった.この遷移には,不均質流れから均質流れ,またはクラスター流れから均質流れに遷移する2 パターンが存在し,後者は初期水溶液濃度が低い場合にのみ現われる.前者は氷粒子に付着した気泡によって,氷粒子が分散することによるものと考えられる.後者の原因としては,気泡を伴わないときには氷粒子同士が近づきやすく付着・凝集が生じやすいが,気泡が伴うことにより前者と同様に氷粒子を分散させ,付着・凝集が生じるような状況をなくす効果があると考えている.

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本冷凍空調学会
前の記事 次の記事
feedback
Top