論文ID: 23-21_OA
エアコンディショナーの性能は,JIS で規定された年間性能評価指標としてのAPF をはじめとして運転データ取得を簡略化するため,圧縮機の回転数を一定とし,制御系を除外した状態で取得された数点の運転データをベースに導出される.一方,実際の機器では当然,搭載された自動制御によって,圧縮機の回転数や膨張弁開度などを適切に変化させながら運転されるため,この方法では実運転性能と大きく乖離することが指摘されている. そこで,本研究ではエアコンディショナーの動的性能を評価可能な新しい手法を確立することを目的とし,建物や室内外環境など任意の環境を疑似的に計算可能なエミュレーターと性能試験装置から構成される「エミュレーター式負荷試験装置」を新たに開発した.本稿では,「エミュレーター式負荷試験装置」を用いて空調機の動的試験を行い,本試験手法の反復性を検証した.また,ラウンドロビンテストとして,同一の空調機を3 つの異なる試験装置を用いて試験を行い,本試験手法の再現性の検証を行った.その結果,試験の再現性が検証でき,本試験手法による空調機の動的性能評価手法の有効性が確認できた.