本研究では,著者らがこれまでに提案している直交構造格子を用いた水-氷相変化の数値計算手法を,実現象を想定したより広範な温度条件へ適用すべく,水の凍結および氷の融解を同時に扱う計算手法を提案する.提案手法では,流体の流れ,固体内の熱伝導,および固液相変化を全て同一の直交構造格子上で計算する.また,固液相変化の計算では,各計算セル内の界面位置を近似的に考慮し,界面温度が常に凍結温度と等しいという仮定のもとでステファン条件の計算を行う.密度逆転領域を含む自然対流の再現性について基本的な確認を行った後,凍結・融解が同時に生じる問題へ提案手法を適用した.計算結果から,密度逆転領域を含む水の自然対流が水の凍結および氷の融解の進行に大きく影響していること,また,提案手法では水–氷界面の温度が水の凍結温度とよく一致することを確認した.