日本シミュレーション学会論文誌
Online ISSN : 1883-5058
Print ISSN : 1883-5031
ISSN-L : 1883-5058
論文
磁気溶液堆積法による薄膜形成に及ぼす面積分率の影響に関するブラウン動力学シミュレーション
早坂 良李 政勳中西 貴裕
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 17 巻 2 号 p. 69-75

詳細
抄録

本研究では,磁性微粒子を液体中で効果的に沈降させることで薄膜を生成する磁気溶液堆積法に及ぼす粒子濃度の影響を明らかにするため,面積分率を種々に設定し,その生成条件をブラウン動力学シミュレーションにより詳細に検討した.具体的には,粒子の沈降現象に及ぼす,印加磁場の強さや,粒子間の磁気的な相互作用の大きさ,粒子の質量密度,ならびに液体の温度の影響を種々に設定し,薄膜が形成される条件を明らかにした.本研究では特に面積分率に着目し,前報は0.227であったが,今回は6通りの比較を行い上限値は0.403に設定した.印加磁場が強くなると,粒子の磁気モーメントが磁場方向に強く拘束されクラスタが形成されにくくなり所望の薄膜が得られる傾向がある.ただし,面積分率が高くなると粒子間距離が短くなり磁場方向を向いた粒子同士でもクラスタを形成するようになるため,所望の薄膜が得られにくくなる.面積分率が0.227以上になると薄膜が得られる条件数が急激に減少し,0.403では完全に形成不可能となった.このことから磁気溶液堆積法による面積分率の限界点は0.251から0.403の間にあることが示唆された.

著者関連情報
© 2025 日本シミュレーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top