特殊教育学研究
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ドイツ民主共和国における補助学校(Hilfsschule)の目的について
窪島 務
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1977 年 15 巻 1 号 p. 35-45

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抄録
本論文の目的はドイツ民主共和国(DDR)の補助学校(Hilfsschule)の教育目的に検討を加え、更にその問題点を考察することにある。その際、教育日的定立にあたって,社会的要求と個人的発達の要求との間にいかなる統一がうちたてられるべきか、ということを分析の視点とした。第1に、DDR教育学の一般教育目的としての全面的に発達した社会主義的人格の概念の内容を明らかにし、第2に、その一般教育目的と障害児教育目的、とりわけ補助学校教育目的との連関を見た。第3に、DDRにおける障害児教育目的とそれに規定される補助学校生徒の構成に視点をあて考察した。そこでは、全面的調和的に発達した社会主義的人格の形成という教育目的が補助学校の対象を一定の能力を基準に限定することになった論理を究明した。最後に、以上の論述をふまえて、DDRの補助学校教育目的定立の方法に若干の批判的考察を加える。
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© 1977 日本特殊教育学会
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