1985 年 23 巻 2 号 p. 12-20
選択性緘黙反応の治療においては、その治療効果が他の場面(例えば学校等)へ般化しないことが問題となる。そこで本研究では、家庭から学校場面への般化を促進する手続きとして刺激フェイディング法を用いた。また対象児に言語遅滞が存在していることから、家庭場面で社会的発語スキル(特に学校場面で必要とされる項目)訓練を行い、発語促進をはかった。フェイディングステップは、場面・人・時間要因から作成された不安階層表に基づいて20ステップとした。最終ステップでは、教室場面で担任教師と発語が可能となることであった。24セッション後、この最終ステップは可能となった。また治療終了1ヵ月後のフォローアップ調査では、訓練項目の発語が維持されているばかりではなく、その他の発語反応や、クラスメートとの発語による相互作用も可能となってきた。