1985 年 23 巻 2 号 p. 21-28
低出生体重児の発達の予後の問題を、周産期障害との関連性に視点をあてて検討することを目的としてなされた。976名の対象児は、生下時体重(2,500g以上か以下か)および他の周産期障害の合併の有無によって4群に分類され、乳児期および3歳時における種々の行動発達の測定値と精神遅滞・言語発達遅滞を示したものの比率について、比較検討された。その結果、(1)低出生体重児は成熟児に比して、定頸・始歩・始語の獲得時期に遅れる傾向がみられ、とくに、他の周産期障害を合併する低出生体重児群においては、その傾向が目立った。(2)3歳時点での発達検査結果の比較では、低出生体重に他の周産期障害を合併する群は成熟児で他の周産期障害を合併しない群に比して、発達指標が有意に低く、精神遅滞・言語発達遅滞を示したものが高率であった。(3)低出生体重と仮死あるいは黄疽との組合せにおいて、乳幼児期の発達の予後に問題を残す場合が多く、この傾向は、他の周産期障害の重複が多くなるほど著しいことが明らかにされた。これらの結果から、低出生体重児の発達の予後は、単に体重が小さくて出生したという因子のみによるのではなく、周産期の種々の障害の合併が大きく関与していることが示唆された。