特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
重度聴覚障害者の音声における第2ホルマント遷移
加藤 靖佳吉野 公喜
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 27 巻 2 号 p. 75-81

詳細
抄録

本研究は、重度聴覚障害者の音声におけるホルマント周波数の時間的変化、すなわちホルマント遷移の特徴を解明することを目的とした。重度聴覚障害者3名、健聴者3名を対象に、単母音/V/及び2連母音/VV/の検査語音を用いて被験者の音声を音響的に分析した。単母音は音声の定常部分、二連母音は遷移部分を切り出し、分析に用いた音響パラメータは第1ホルマント、第2ホルマント周波数であった。ホルマント抽出にはケプストラム及びリフタードスペクラム分析を用いた。結果は以下の通りであった。1.F_2の始まりと目標周波数は、被験者によって異なっていた。2.聴覚障害者群のF_2の遷移幅は、健聴者群と比べて小さかった。3.聴覚障害者群における母音別のF_2の目標周波数は、3母音(/i/,/e/,/a/)ともほぼ同一の周波数を示していた。

著者関連情報
© 1989 日本特殊教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top