特殊教育学研究
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重度精神遅滞児の校外歩行活動
酒井 裕市瀬川 健治
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1992 年 30 巻 3 号 p. 27-33

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抄録

重度の精神遅滞を有する小学1年生4名に、週1回、計30回の校外歩行活動を行った。I期(4月〜6月)は、1回につき0.5〜3kmの歩行を休憩を含めて40分間行った。II期(7月〜10月)は3〜5kmの歩行を90分間とし、III期(11月〜3月)は6〜10kmの歩行を150分間とした。指導中は、安全性と子どもたちの意欲を高めることに特に注意を払った。子どもたちは初期の0.5km程度の歩行に対して消極的であったが、校外歩行活動を重ねるにつれ、歩くことに積極性が芽生えてきた。III期目に入ると10kmの歩行が可能になった。校外歩行活動期間中の歩数を測定したところ、III期における平均歩数は19,055歩となり、健常児の平均歩数に近い値まで増加していた。1年間の校外歩行活動を通して、子どもたちの不活発な状態が改善され、持久力が増したと考えられた。そのことは、日常の行動にも少なからずプラスの効果をもたらしていると思われた。

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© 1992 日本特殊教育学会
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