特殊教育学研究
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健常児における書字能力と形態認知との関連について : 精神遅滞児の書字能力を高めるための基礎的検討
三塚 好文
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1994 年 31 巻 4 号 p. 37-43

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抄録

精神遅滞児の文字獲得、特に、書字獲得を促す指導要素を、健常児の発達的様相の中から明らかにするのが本研究のねらいである。3歳8ヵ月〜7歳11ヵ月の10名の健常児に、書字課題、読み課題、図形模写課題、フロスティッグ視知覚発達検査を実施した結果、(1)読字獲得が書字獲得より先行し、読み能力を高めることが大切であり、(2)△、☆の模写能力が書字能力のひとつの目安となること、(3)フロスティッグ視知覚発達検査の検査I、II、Vの領域の視知覚能力が書字能力と関係が深く、書字指導を進める際に、3mmの帯状の直線の枠の中に線が書ける目と手の運動調整能力がひとつの目安になること、刺激を構成している様々な線分を見分けて特定の図形に抽出していく能力、9,24ポイントで構成される空間の認知と、線分を見分けたり模写する能力が書字獲得を促すのに大切な要素であることが分かった。

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© 1994 日本特殊教育学会
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