特殊教育学研究
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確率学習場面における精神遅滞児の問題解決過程と発達-差異論争
田中 道治Edward Zigler
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1994 年 32 巻 2 号 p. 53-62

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抄録
精神遅滞児の心理学研究において、学校や家庭での精神遅滞児の行動が、ほとんど問題解決行動として注目されてこなかったのは、一種の驚きである。確かに、一般的にも問題解決の検討は、種々な要因が関与するだけに困難を極める。その上、精神遅滞児の場合、彼らの問題解決行動を分析しようとすると、健常児以上に認知要因および情緒的動機づけ的要因の連関性が強く、実験統制の難しさのみならず、個人間・個人内差が大きくなるだろう。しかしながら、とくに精神遅滞児の教育の手がかりをもつためには、もっとこの問題解決行動の研究が進歩する必要がある。本稿では、確率学習課題を用い、その基礎心理機制を検討してきた諸研究を概観して、精神遅滞児の特徴を知る。そして、精神遅滞児の認知機能に関して、1960年代から続いている論争に、この問題解決過程からの接近を試み解決の方向を探る。
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© 1994 日本特殊教育学会
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