2011 年 49 巻 2 号 p. 127-134
本研究では、通常学級での特別支援教育に対する意識構造とその影響要因について明らかにするために、小・中学校の通常学級教師を対象として、調査研究を実施した。小・中学校の担任教師615名を分析対象とし、因子分析により意識構造を明らかにするとともに、影響要因との関係について分析した。その結果、質問紙から3因子が抽出され、それらは「特別支援教育に対する理解と技能」「特別支援教育に対する積極的な評価・関心と学習・研修の必要性」「通常学級での指導と保護者への対応に関する悩み」と命名された。また、影響要因との関係から、特別支援教育の経験、大学での免許習得、単位修得、通常学級における特別な教育的支援を必要とする児童生徒の担任経験によって、理解と技能、積極的な評価・関心、そして学習・研修での必要性に違いが認められた。なかでも、特別支援教育の経験と研修機会の有無は、通常学級での指導と保護者への対応に関する悩みにおいても、違いを生じていた。