2011 年 49 巻 2 号 p. 135-144
新生児聴覚スクリーニングの普及によって聴覚障害の早期発見が進展し、聾学校(特別支援学校)の乳幼児教育相談では、相談ケースの増加、低年齢化などの変化が起こっている。今回、実態把握を目的として全国の聾学校の乳幼児教育相談担当者を対象にアンケート調査を実施した。98%から回答があり、全国の聾学校で乳幼児支援が展開されていることが確認された。支援内容では、保護者支援が重視されており、他の専門職、成人ろう者等の支援への参加が試行されていた。また、教育相談担当者は、早期発見児に対して発達が良好であるという印象をもっていること、乳幼児期のコミュニケーション手段については、手話、音声言語、聴覚活用等の多様な手段を柔軟に活用しようと考えていることがわかった。一方、担当者の人数および経験や研修の不足、施設設備の不十分さ、他機関との連携の問題などが多く指摘され、これらは今後の重要な課題であることが示唆された。