抄録
授業中離席をする・板書をノートに写さない等の問題行動を示す児童が5名在籍している、小学校4年の通常学級に対して、当該の児童の授業参加行動の改善を目指して、できるだけ担任に負担をかけない方法で介入を行った。まず、第一次介入としてクラスワイドな支援を行った。その後、第一次介入だけでは授業参加行動に改善がみられなかった1名の児童に対して、第二次介入として個別支援を行った。その結果、対象児全員の授業参加行動に改善がみられ、1.5年後も4名の対象児の授業参加行動が維持されていた。また、学級の他の児童の話の聞き方においても改善がみられた。さらに、児童と教師の双方から手続きに関しても肯定的な評価を得られた。以上のことから、本研究で用いた、クラスワイドな支援を基盤としたうえで個別支援を導入した支援方法は、担任に負担をかけることなく、複数の児童が対象であっても問題行動の改善を可能にすること、また他の児童に対しても適切な行動の増大をもたらすことなどが検討された。