特殊教育学研究
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研究時評
特別支援教育における教師の指導困難とコンサルテーションに関する研究の動向と課題
別府 悦子
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2013 年 50 巻 5 号 p. 463-472

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抄録

教師の精神疲労やバーンアウトが問題になっているが、児童生徒の多様な困難やニーズによって、教師が児童生徒との関係をうまく作れないことが一因ともなっている。本稿では、先行研究のレビューを通して、児童生徒の特別な教育的ニーズに対して教師が抱える指導困難を年齢段階や移行期において明らかにし、教師支援に有効なコンサルテーションの課題について検討した。その結果、幼児期や小学校低学年では、多動衝動的行動や対人トラブルによって教師が困難を抱えやすいが、高学年になるにしたがい、気づきにくい問題が顕在化したり、自尊心の低下や二次障害から生じる問題に、教師は指導困難を抱えていることが明らかになった。また、中学校では思春期の問題への対応が重要になっていた。こうした年齢段階や移行期において教師が抱える指導困難への支援を行い、教師が自己有能感をもてるようなコンサルテーションシステムの開発が課題であると示唆された。

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© 2013 日本特殊教育学会
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