抄録
本研究は、学習時の反復検索が、語彙理解に遅れのない幼児のみならず、遅れのある幼児の長期保持を高めるかどうかを検討することを目的とした。幼児30名(統制群15名、遅滞群15名)に対し、学習材料の記銘、反復検索/聴取、5分後テスト、4時間後テストを課した。その結果、以下の2点が明らかとなった。第1に、保持間隔、学習条件にかかわらず、遅滞群は統制群よりも成績は低いこと、第2に、学習中の反復検索の介入は同時間聴取しながら学習するよりも、5分後、4時間後ともに成績が高く、これは統制群、遅滞群ともに同様であったことである。これらの結果から、成人の結果と同様、語彙理解に遅れのある幼児であっても、反復検索が長期保持に強い効果をもたらすことが明らかとなった。