抄録
本研究では、対人関係や発達に課題があり、卒業後は就労を希望している定時制高校生4名に対して、問題解決は児童生徒、学校関係者との協働によって図られるというスクールソーシャルワークの視点から、全40回のグループワークを行い、生徒間の相互作用を通じてキャリア発達を促し、具体的な就労体験を行うことで、社会的、職業的自立を目指すための支援を検討した。当初は、参加者間の関わりは少なく受身の態度であったが、ワークを重ねるにつれ、自己理解・相互理解が深まり、ワークに対する具体的な希望や、就労体験に対する積極的な参加がみられた。また、参加者の1人は潜在化していた課題が表面化し、障害者就労を検討する機会を得た。参加者のニーズに合わせた就労体験先の探索と連携により、参加者間、学校、地域の共感に基づいたネットワーク化が図られた。