抄録
本研究では特別支援学校の教員による自閉症スペクトラム(ASD)児の家族に対する支援の現状を明らかにすることを目的として、家族支援に関する質問紙調査を実施した。質問紙は、特別支援教育に携わる学校の教員5名によるインタビューに基づいて作成された25項目で構成された。特別支援学校の教員を対象として質問紙調査を実施し、ASD児の家族に対してどのような支援を行い、どのような支援を重要視しているのかについて回答を得た。因子分析の結果、質問項目は「受け入れ姿勢」「支援者との共通認識」「積極的関わり」「子どもの様子の伝達」の4因子で構成されていた。教員が家族の気持ちを受け入れたり、子どもの様子を伝えたりする家族への直接的な関わりは、実施度、重要度ともに高かったものの、きょうだいへの働きかけや他機関への連携が不足していた。全体的に、特別支援学校の教員は専門性を生かして、ASD児の特性に合わせた支援を実施していることが示唆された。