抄録
本研究の目的は、日本で標準化することを目指して、カリキュラムに基づく尺度(CBM)に関する研究動向を把握することであった。CBMは、米国では介入への反応(RTI)の流れの中で児童生徒の学習の進捗状況を把握するための有力な方法である。研究動向は、CBMの技術的な十分さの確立と活用とCBMの展開と限界の項目にまとめられた。CBMの活用としての研究動向は1)CBMの有効性とそのフィードバックのあり方、2)データ評価決定ルール、3)場による指導の効果の比較検討、4)通常の学級での取り組み、の観点から分類された。CBMの展開として、先行研究は新しい学習障害の認定の手立てと学級全体の進捗状況の把握の観点から紹介された。これまでの研究動向とわが国の現状を踏まえ、CBMの意義とわが国におけるCBMの標準化に向けた取り組みが提案された。