特殊教育学研究
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実践研究
NICU(新生児集中治療室)に長期入院する超重症児の行動表出とやりとりに関する事例的研究
岡 麻衣子土谷 良巳
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2015 年 53 巻 4 号 p. 275-284

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抄録
本研究の目的は、濃厚な医療的ケアの必要な超重症児を対象として、対象児の行動表出を促し、かかわり手と双方向の相互作用を成立させる条件を実践的に明らかにすることである。全150セッションに及ぶ活動において、幼児用音楽1を用いた活動では、かかわり手は対象児の見守りと応答的な表出確認を行った。同音楽2を用いた活動では対象児の見守りから腰へのタッピング、手へのタッピング、ぬいぐるみの振動提示、ぬいぐるみの振動提示および身体上での振動の再現へと働きかけの条件を変化させた。その結果、対象児の行動表出が増加するとともに、表出方法も不随意的な運動を含むものから一定時間持続して意図的・随意的に表出される行動へと変化した。こうした経過から、対象児の行動表出に応じるかかわり手の表出確認、対象児へのタッピング、ぬいぐるみの振動提示および身体上での再現が、相互作用を成立させる条件として有効であることが示された。
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© 2015 日本特殊教育学会
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