2019 年 57 巻 2 号 p. 85-94
本研究では、肢体不自由のある当事者を対象として質問紙調査を実施し、高校進学や高校生活においてどのような困難さやニーズがあるかを明らかにすることを目的とした。その結果、調査協力者の半数以上が二分脊椎症により肢体不自由を有しており、そのため導尿の医療的ケアを必要としていた。高校選択の際は、通学圏でバリアフリーが整えられている学校を重視していた。しかし、高校入学後にも施設・設備の問題に直面しており、入学前に予期していない課題が生じていた。学習面では、全体の半数が体育の授業に困難があり、授業内容や成績評価に対する不満が示された。また、友人・対人関係に問題を抱えている者も多く、その要因として他生徒の障害理解不足が考えられた。そして、高校卒業後の進路では、大学進学希望者が最も多く、進路指導では、指導内容や教員の姿勢への要望が挙げられた。 今後、調査方法を工夫し、起因疾患ごとの課題等の検討が必要である。