特殊教育学研究
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実践研究
保育所における発達支援ニーズのある児の早期支援の効果に関する検討
荻野 昌秀
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2022 年 60 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

昨今、発達支援ニーズのある児の早期発見、早期支援が求められている。本研究では保育所における4歳児の早期支援の仕組みについて検討した。介入群714名、統制群159名を設定し、介入群に対して心理士および作業療法士による行動観察、保育士との支援方法の協議、学識経験者を含めた会議などを実施して支援方法を決定し、介入前後で両群に質問紙調査を実施して支援の効果を検討した。その結果、介入により全体として理解面や言語面の向上、多動・衝動の改善が示された。また、理解面や言語面の弱さがある児など、タイプ別にみると、それぞれにおいて介入により弱い因子の改善がみられた。また、個別に検討を行わなかった児にも介入の効果がみられ、クラスワイドアプローチの効果も示された。支援内容や対応を保護者に説明することで、一部の児は地域の療育センターへの相談につながったが、今後の継続的な評価、支援とともに、保護者の理解度や変化、介入の厳密性の検討が望まれる。

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© 2022 日本特殊教育学会
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