2024 年 62 巻 2 号 p. 93-103
大学等の高等教育機関において、発達障害をはじめ障害のある学生への支援の必要性に関する認識は高まってきたものの、同じ高等教育機関である専門学校(専修学校専門課程)に焦点を当てた研究はきわめて乏しい。本研究では、全国280校の専門学校を対象に、障害学生支援の実態ならびに発達障害特性のある学生の在籍と支援に関する質問紙調査を実施した。その結果、障害学生支援の専門部署・機関や担当者の配置、対応要領・基本方針、規程などの策定、障害学生支援に関する活動や取り組みについては、大学・短期大学・高等専門学校と比べて未整備の学校がきわめて多い現状が確認された。診断の有無を問わず発達障害特性のある学生については、8割近い専門学校に少なからず在籍していると捉えられていた一方で、学校生活のさまざまな側面における支援は十分に提供されていない学校もあることが示された。発達障害特性のある専門学校生への支援は発展途上にあり、さらなる整備、促進が今後の課題である。