特殊教育学研究
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原著
盲幼児児童における系列化課題の課題難易度と課題遂行方略に関する分析―触運動感覚に依拠した入れ子課題を用いて―
戸嶋 純那二宮 一水福田 奏子佐島 毅
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2024 年 62 巻 2 号 p. 81-92

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抄録

数の理解の基礎となる重要な概念の発達を促す系列化課題は、一見で全体を把握できる視覚による場合と、継時的に知覚していく触運動感覚による場合で大きく異なる。本研究では、重ねることで順番の正誤がフィードバックされる入れ子課題を用いて触運動感覚による系列化課題を作成し、その難易度を検討することと、入れ子課題の課題遂行方略を分析することを目的とした。分析は、①入れ子課題の難易度、②難易度に影響を与える要因、③ピアジェの系列化の発達段階と照らし合わせた方略の検討、の3つの観点から行った。その結果、入れ子3個より5個のほうが、また、入れ子を1つずつ手渡しで提示していくより同時に提示するほうが難易度は高く、入れ子の数によって提示方法を検討する必要性が示唆された。また、入れ子課題による盲幼児児童の系列化の発達も、ピアジェの発達段階と同様の順序がみられた。本研究の知見は盲幼児児童の系列化の指導や評価に活用可能と考える。

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© 日本特殊教育学会
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