抄録
数の理解の基礎となる重要な概念の発達を促す系列化課題は、一見で全体を把握できる視覚による場合と継時的に知覚していく触運動感覚による場合で大きく異なる。本研究では、重ねることで順番の正誤がフィードバックされる入れ子課題を用いて触運動感覚による系列化課題を作成し、その難易度を検討することと入れ子課題の課題遂行方略を分析することを目的とした。分析は①入れ子課題の難易度、②難易度に影響を与える要因、③Piagetの系列化の発達段階と照らし合わせた方略の検討の観点から行った。その結果、入れ子3個より5個の方が、また入れ子を1つずつ手渡しで提示していくより同時に提示する方が難易度は高く、入れ子の数によって提示方法を検討する必要性が示唆された。また、入れ子課題による盲幼児児童の系列化の発達もPiagetの発達段階と同様の順序が見られた。本研究の知見は盲幼児児童の系列化の指導や評価に活用可能と考える。