特殊教育学研究
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改訂オーストラリアン・カリキュラムにおける障害のある児童生徒を包摂するための方策と論点―ヴィクトリア州とニューサウスウェールズ州の取り組みを踏まえて―
山中 冴子
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論文ID: 23B033

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抄録
オーストラリアン・カリキュラム(以下、AC)は児童生徒の多様性に応じるべく設計されており、2022年から改訂版が公開されている。AC改訂では障害のある児童生徒の包摂に関わって、まず、多様な学びをより尊重する形で学習領域が見直された。次に、リテラシーとニューメラシーの「学びの進行表」が導入された。そして、汎用的能力をレベルに幅をもたせて学習領域に関わらせた。初等中等教育の権限を有する各州は、ACを工夫できる。ヴィクトリア州やニューサウスウェールズ州のカリキュラムは知的障害を意識した到達基準や学習内容を示すなどし、教員が知的障害のある児童生徒個々に合わせた実践を創造するための拠り所を提供していた。以上は、障害カテゴリーの内にある多様性に応じたカリキュラム策定を議論する際の参考になろう。今後は関係各所の反応から改訂ACと2州のカリキュラムの成果と課題を把握する必要がある。
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