糖尿病
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症例報告
肺炎球菌による中耳炎後に化膿性脊椎炎を発症した緩徐進行1型糖尿病の1例
山本 昌弘宗宮 基三上 千恵山根 雄幸西木 正照村上 宜男加藤 讓
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2005 年 48 巻 11 号 p. 783-787

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抄録
症例は61歳, 男性. 46歳時に糖尿病と診断され, 54歳時にGAD抗体陽性とインスリン分泌能低下から緩徐進行1型糖尿病と診断された. 強化インスリン療法によりHbA1c 7%以下に管理されていた. 3カ月前に肺炎球菌による急性中耳炎と診断された. 抗菌薬投与により軽快したが, 1カ月後に再び右耳痛, 腰痛ならびに発熱が出現した. 急性中耳炎と診断され抗菌薬投与を受けたが, 著しい腰痛のため入院した. CTとMRIにより化膿性脊椎炎と診断し, 耳漏培養の結果から起炎菌は肺炎球菌と考えられた. 抗菌薬投与とともに, 外科的病巣掻爬および後方脊椎固定術を施行し軽快退院した. 肺炎球菌は時に浸潤性感染をきたし, 化膿性脊椎炎の起炎菌となることが知られている. 糖尿病は肺炎球菌の浸潤性感染の危険因子であることから, 本症例では肺炎球菌による中耳炎から化膿性脊椎炎への進展に, 糖尿病が寄与した可能性が考えられる.
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© 2005 一般社団法人 日本糖尿病学会
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