糖尿病
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コメディカルコーナー・原著
食事中の蔗糖含有量が2型糖尿病患者の食後血糖値に及ぼす影響
秋山 有代元島 洋子竹内 恭子徳永 貢土田 温子保阪 大也矢澤 麻佐子松田 彰大村 栄治今井 康雄河津 捷二
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キーワード: 食事療法, 蔗糖, 食事負荷
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2006 年 49 巻 5 号 p. 355-360

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抄録

2型糖尿病患者の食事選択肢を拡げられるか否かを知る目的で,蔗糖含有量の異なる食事が食後血糖値に及ぼす効果について検討を試みた.HbA1C 8%以下でインスリン治療やα-グルコシダーゼ阻害薬(α-Gl薬)の服用がない2型糖尿病患者18名(男性9名,女性9名)を対象とした.試験食(朝食)は,等量のエネルギー,炭水化物,食物繊維を含み蔗糖含有量が異なる食事で,主食として食パンとあんパン(各々の蔗糖含有量は0.2 g, 20.3 g)を採用し比較した.同一患者に各々の食事を別の日に提供し,2種類の試験食摂取の順序はランダムに割り付けた.各負荷試験では,0, 30, 60, 120分に採血し,血糖,インスリン,インタクトプロインスリン,Cペプチド,中性脂肪,遊離脂肪酸を測定した.その結果,2種類の試験食間で各時間における全測定項目に有意差はみられなかった.以上の結果から,比較的血糖コントロール良好な2型糖尿病患者の食事療法において,食事摂取時の蔗糖の厳格な制限は再検討してもよいと考えられた.ただし,蔗糖含有量の多い甘い食品は食べ過ぎる傾向がありエネルギーが過剰となりやすいこと,また長期使用時の効果を検討する必要があろうと思われること,など十分な注意が必要であると考える.

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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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