糖尿病
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症例報告
緩徐進行1型糖尿病に慢性甲状腺炎,悪性貧血,特発性血小板減少性紫斑病を合併した多腺性自己免疫症候群III型の1例
小川 典子田中 順子山根 雄幸垣羽 寿昭西木 正照山口 徹杉本 利嗣
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2006 年 49 巻 9 号 p. 723-729

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抄録
症例は61歳女性.1996年頃から住民検診で高血糖を指摘され,2002年6月初めて医療機関を受診した.食事療法,グリメピリド内服にて加療されたが,血糖コントロールが悪化し,12月に前医へ教育目的で入院した.抗GAD抗体陽性であり,緩徐進行1型糖尿病と診断され,強化インスリン療法が開始された.2003年8月,慢性甲状腺炎,悪性貧血を認め,多腺性自己免疫症候群III型と診断された.貧血は,メコバラミンの筋注にて改善したが,2004年6月頃から徐々に血小板数が減少しはじめたため,当院へ精査目的で入院した.本例は緩徐進行1型糖尿病に慢性甲状腺炎,悪性貧血,特発性血小板減少性紫斑病を合併した稀な症例であった.また,本例のHLAが通常1型糖尿病では疾患抵抗性と考えられているDQA1 0102, 0103, DQB1 0602, 0601である点も興味深かった.
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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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