糖尿病
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ロジスティック回帰分析を用いた脂肪肝発症確率および多重リスク症候群の減量効果
山田 晴生福澤 嘉孝世古 留美角田 博信深沢 英雄各務 伸一
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2007 年 50 巻 1 号 p. 9-15

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抄録
本研究は脂肪肝(FL)発症の危険因子をロジスティック回帰分析より求め,FL発症確率を検討すると共に,減量によるFL消失確率を明らかにすることを目的とした.対象は611名,平均年齢50.6±9歳.FLの危険因子の中からBMI, HDLコレステロール(HDL), 中性脂肪(TG), HbA1c (A1c), 尿酸(UA)を用いFL発症確率を検討すると,非FL群の危険因子平均値ではFL発症確率は男性15%, 女性1%と推定された.A1c 6.5%まで上昇するとFL発症確率は男性75.5%, 女性22%, TG 200 mg/dlではFL発症確率は男性で,ほぼ100%, 女性は85%であった.また,多重リスク症候群を疑わせる状態からの減量効果ではBMI 26 kg/m2, A1c 5.8%, UA 7.0 mg/dl, TG 150 mg/dl, HDL 39 mg/dlでのFL発症確率は男性88%, 女性46%がBMI 1 kg/m2の減量でFL発症確率男性59%, 女性9.3%, BMI 2 kg/m2の減量で男性20%, 女性7.6%に激減するものと予測された.このことから男性は体重の約10%, 女性は約5%の減量で十分効果が認められると推定された.
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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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