糖尿病
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原著
糖尿病慢性合併症の発症・進展要因
—長期経過観察例での検討—
岸本 あかね佐々木 秀行井畑 淳子中野 好夫若崎 久生古田 浩人西 理宏南條 輝志男
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2008 年 51 巻 2 号 p. 109-115

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抄録

糖尿病慢性合併症の危険因子を解明するために,20年以上経過観察し得た糖尿病患者166例を対象に後ろ向き研究を行った.細小血管症は網膜症・腎症を進行度により3群に分類,大血管症は脳梗塞・心筋梗塞の有無で評価した.合併症の発症・進展と種々の臨床指標(発症年齢,罹病期間,肥満度,血糖,脂質代謝,血圧)およびそれらの集積との関連性を分散分析,カイ二乗検定および多重口ジスティック回帰分析により検討した.網膜症では長期罹病期間,高血糖,高血圧が,腎症では若年発症,高血糖,脂質異常症,高血圧が,脳梗塞では高血圧が危険因子として抽出された.メタボリックシンドロームの構成要素である肥満,脂質異常症,高血圧の集積と平行して合併頻度が増加するのは腎症のみであった.糖尿病患者において高血圧の是正はすべての合併症防止に重要であること,肥満,脂質異常症,高血圧の集積は腎症の危険因子であることが示唆された.

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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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