糖尿病
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原著
2型糖尿病のインスリン混合製剤1日2回注射法効果不十分例におけるSU薬+グラルギン併用療法への切り替え効果の検討(JUN-LAN Study 8)
鴫原 奈弓田蒔 基行後藤 広昌河井 順子藤谷 与士夫綿田 裕孝河盛 隆造弘世 貴久
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2010 年 53 巻 3 号 p. 157-161

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抄録

混合型インスリン製剤1日2回注射法は本邦において最も頻用されている治療法であるが,目標血糖コントロールが得られない場合の次なる治療手段に関する検討は少ない.近年,インスリン導入法として使用中の経口血糖降下薬に基礎インスリンを上乗せするBOT(Basal supported Oral Therapy)が注目されており,また効果不十分な症例には超速効型インスリンを段階的に追加する方法が提唱されている.そこで,混合型製剤2回注射をBOTに安全に切り替えることができれば,その後は超速効型インスリンを段階的に追加するStep upが可能であるため,その切り替え効果と安全性を検討した.24週間後HbA1C値は8.26±1.14%から7.70±0.78%まで改善(p<0.05)した.観察期間中,重症低血糖は認めず,低血糖頻度が増加した5症例においても併用のSU薬減量により消失した.本研究は非対照の観察研究かつ症例数も限られたPilot Studyであり,今後長期並びに対照と比較した解析を行う必要があるが,混合型製剤2回法からグラルギンとグリメピリドを用いたBOTへの切り替えは大きな血糖コントロールの悪化をきたさず安全に行えることが観察された.

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© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
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