抄録
糖尿病患者のアルブミン尿レベルと腎機能低下速度,動脈硬化進行度の関連について検討した.対象は2年間継続して外来通院中の糖尿病患者505人(観察開始時平均年齢65歳).観察開始時に正常及び微量アルブミン尿を示す患者を中央値で低値と高値の2群ずつに分け,マクロアルブミン尿群を含む5群間で推算糸球体濾過量の年間変化量平均値(ml⁄min⁄1.73 m2⁄year)を比較したところ,アルブミン尿レベルの低い群から順に-1.8,-3.3,-3.3,-3.9,-4.3と,また,脈派伝播速度平均値(cm⁄sec)も1642,1810,1869,1957,2018と,正常低値群に比べ正常高値以上の群で有意に高値であった.また,正常高値群では正常低値群に比べ糖尿病罹病期間,HbA1c,BMI,高血圧症合併率,血圧などの腎機能と動脈硬化双方に関連する指標が有意に高値であった.糖尿病患者では正常アルブミン尿の段階から腎機能低下速度の亢進と動脈硬化の進行が始まっていることが示唆された.