糖尿病
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原著
ヘモグロビンA1c測定による糖尿病スクリーニングに関する検討
矢野 正生山門 實五十川 陽洋柴 輝男
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2010 年 53 巻 8 号 p. 601-606

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抄録

人間ドック受診者1485名(22~89歳)を対象に,75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)をgold standardとし,HbA1c単独およびHbA1cと空腹時血糖(FPG)組合せ測定による糖尿病スクリーニングの感度および特異度を検討した.推奨HbA1cカットオフ値を6.1%(JDS値)としたとき,感度56.6%,特異度98.5%となった.receiver operating characteristic(ROC)分析で求めた最適カットオフはHbA1c値6.0%,FPG値 106 mg/dlであった.HbA1c ≧6.0%とFPG≧106 mg/dlを組合せると,糖尿病型に対する検出感度は94%と著明に上昇したが,特異度は92%とやや低下した.一方,全対象者の27.5%が境界型であり,境界型に対する検出感度はいずれも40%未満であった.HbA1c単独による糖尿病スクリーニングでは,4割以上の糖尿病型を見逃すおそれがあり,FPGと組み合わせる必要が示唆された.

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© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
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