抄録
【症例】41歳男性.9歳で1型糖尿病を発症し,39歳時に膵腎同時移植され当院通院中であった.2008年1月より発熱と胸痛をきたし,胸部Xp,CTで両肺に空洞を伴う結節影を多数認めた.MMF,FK 506,mPSLを服用中で,日和見感染を疑い精査加療のため1月15日入院となった.血液,喀痰,髄液培養からは原因菌は同定されず,WBC 10400 /μl,CRP 1.14 mg/dl,ESR26 mm/h,β-グルカン<4 pg/ml,アスペルギルス抗原(-),カンジダ抗原2倍でクリプトコッカスN抗原256倍であったため肺クリプトコッカス症を疑いホスフルコナゾールを開始するとともにミコフェノール酸モフェチルは中止した.治療開始後,解熱して画像上浸潤影は軽快し,クリプトコッカス抗原は緩徐に減少した.1型糖尿病に対する膵臓移植療法は有用な治療であるものの,免疫抑制剤内服に伴い日和見感染をきたす可能性があり,本症例は示唆に富む症例と考え報告する.