糖尿病
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症例報告
糖尿病性ケトアシドーシスで発症し,併発した著明な高中性脂肪血症と重症急性膵炎の治療に血漿交換が有用であった一例
山本 恭平柳本 沙奈美久保田 暁彦寺野 隆服部 憲幸森田 泰正横手 幸太郎
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2010 年 53 巻 8 号 p. 613-618

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抄録

症例は48歳女性.2009年10月8日より口渇著明となり15日嘔吐後来院.血糖値652 mg/dl,血中ケトン体2500 μmol/l以上,尿中ケトン体(3+),動脈血ガス分析ではpH 7.163と代謝性アシドーシスを認め,糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKAと略す)と診断した.入院時腹痛なく,腹部CTでも膵臓に所見は認めなかった.第2病日より不隠となり腹痛を訴えたため急性膵炎を疑い諸検査施行したところ,アミラーゼ720 IU/lと上昇し,中性脂肪(以下TGと略す)6138 mg/dlと高値が判明した.腹部CTにて膵腫大,膵周囲及び前傍腎腔に炎症所見が認められ,重症急性膵炎と診断された.大量輸液,インスリン持続注入,抗生剤投与,蛋白分解酵素持続静注療法といった通常の治療に加え,炎症性サイトカイン吸着目的で持続的血液濾過透析(以下CHDFと略す),TG除去のために血漿交換(以下PEと略す)を施行したところ,急速にTGは低下し臨床症状は改善した.DKAに高中性脂肪血症を伴い,その結果急性膵炎が誘発されたと考えられた症例であり治療にはPEが有用であった.

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© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
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