糖尿病
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症例報告
前立腺癌の治療中に高血糖を来し,エチニルエストラジオール投与により深部静脈血栓症を発症した1例
堂地 ゆかり堀之内 秀治平川 愛新名 清成出口 尚寿有村 公良
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2010 年 53 巻 9 号 p. 691-694

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抄録

症例は71歳男性.2007年7月前立腺癌と診断され,ビカルタミド,酢酸リュープロレリン開始.2008年7月デキサメタゾン追加後に尿糖出現.9月FPG 318 mg/dl, HbA1c 9.5%(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467,2010))を認めたため当科入院.前立腺癌に対してエチニルエストラジオールが追加となり,デキサメタゾンは高血糖のため中止となった.インスリン頻回注射により血糖は改善したが,エチニルエストラジオール開始17日後に右下腿浮腫,疼痛が出現し,下肢静脈エコー,造影CTにて右膝窩静脈内および右肺動脈内に血栓を認め,D-dimer 78.5 μg/mlと著明な上昇を伴った.下大静脈フィルターを留置し,ウロキナーゼ・ヘパリンを投与.48病日の造影CTにて右膝窩静脈内に血栓は残存したが,右肺動脈内血栓は消失し改善傾向であった.前立腺癌でエチニルエストラジオールを投与する際は,深部静脈血栓症(DVT)に注意が必要であるが,血糖コントロール悪化時は高血糖による血栓発症の危険性も加わるため,十分な認識が必要である.

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© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
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