糖尿病
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症例報告
糖尿病性ケトアシドーシス後に急性腎不全を発症し,遷延性膵外分泌酵素上昇を認めた2型糖尿病の1例
永井 香弥坊内 良太郎花井 豪石井 晶子丸山 聡子三浦 順之助岩本 安彦
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2011 年 54 巻 10 号 p. 800-805

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抄録

症例は75歳女性.1989年(55歳),2型糖尿病と診断され,2000年インスリン導入.2006年7月頃より血清クレアチニン(Cr)の上昇を認め,以後1.2~1.4mg/dlで推移した.2009年10月下旬,感冒を契機に食欲不振となり,インスリン注射を自己中断.10月末,当院を受診し,糖尿病性ケトアシドーシス(以下 DKA),急性腎不全(Cr 5.91mg/dl)及び細菌性尿路感染症の診断で入院.入院時,アミラーゼ138U/l,リパーゼ113U/lと上昇を認めたが,画像及び身体所見から急性膵炎は否定的であった.アミラーゼ及びリパーゼの最高値はそれぞれ第23病日478U/l,第20病日796U/lであり,その後低下傾向にあったが,両酵素とも正常化するには約3ヶ月を要した.DKA,尿素感染症は持続的静脈内インスリン投与,抗生物質にて軽快,腎機能もCr 2.27mg/dlまで改善した.DKA後に長期間にわたり膵酵素の上昇が遷延した症例は稀であり,ここに報告する.

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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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