糖尿病
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54 巻 , 10 号
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原著
疫学
  • 高村 宏, 平尾 紘一, 川井 紘一, 植木 彬夫, 小林 正
    2011 年 54 巻 10 号 p. 779-785
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の喫煙実態を調査し,現在喫煙群,過去喫煙群,非喫煙群の3群に分け,喫煙が糖尿病に及ぼす影響について検討した.調査は平成20年に行い,糖尿病専門医療施設(病院1,診療所15)通院中の糖尿病患者8290名(男性5090名,女性3200名)を対象とした.一般人口の喫煙実態との比較は平成20年国民健康・栄養調査の結果を用いた.ただし喫煙経験の年齢層別比較と,一般人口の糖尿病罹患率に関しては平成20年度報告に無いため,平成19年同調査の結果を用いた.性別,年齢層別の喫煙率は糖尿病患者と一般人口に差はなかった.しかし現在喫煙群と過去喫煙群を併せた喫煙経験者の割合は糖尿病患者に多かった.20歳未満で喫煙を開始した者の割合は,特に男性で糖尿病患者に多かった.現在喫煙群は他群よりHbA1cが0.2~0.3%高かった(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病 53:450-467, 2010)).喫煙者の15%は直ちに禁煙することを希望していることより,禁煙が期待できる患者は多数存在し,禁煙指導の重要性が示唆された.
診断・治療(食事・運動・薬物治療)
  • 森 博子, 岡田 洋右, 吉村 暁子, 新生 忠司, 西田 啓子, 田中 良哉
    2011 年 54 巻 10 号 p. 786-794
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    外来通院中のインスリン分泌促進薬投与中でコントロール不十分な2型糖尿病患者109症例において,ピオグリタゾン追加時にインスリン分泌促進薬を規定量減量した際の,投与後3, 6ヶ月後の糖・脂質代謝の変化および安全性について検討した.HbA1cが0.5%以上低下したものを改善例,HbA1cが0.5%以上悪化したものを悪化例,それ以外を不変例と判定した.HbA1cは6.9±0.9%から6.6±0.9%と有意に改善した.改善例は38.5%,悪化例は13.8%,不変例は47.7%であった.インスリン抵抗性は改善され,高分子量アディポネクチンも3ヶ月後より約3倍に増加した.脂質代謝においては,有意なHDL-C増加が認められたが,LDL-CとTGは有意な変化は認められなかった.ピオグリタゾン投与後の体重増加は1.5kg程度であり,低血糖を自覚する症例は認めなかった.今回の結果では,ピオグリタゾン追加投与時にインスリン分泌促進薬を規定量減量することにより,血糖コントロールは改善し,重篤な体重増加や低血糖発作を来さず,インスリン抵抗性,低アディポネクチン血症を改善するのみならず脂質代謝をも改善できることが示された.
  • 伴野 祥一, 柳川 益美, 上條 隆, 伴野 潤一, 倉林 正彦
    2011 年 54 巻 10 号 p. 795-799
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    大学で作成した運動プログラムに沿って,生活習慣への介入研究を行い,連続して5年間,75gOGTT等の検査を受けた44人(男11人・女33人,年齢59.2±7.1歳:46~68歳)について耐糖能の改善等について検討した.介入前,正常型27例(61%),境界型14例(32%),糖尿病型3例(7%)であったが,5年後に,それぞれ32例(73%),11例(25%),1例(2%)となり,8例(境界型6例,糖尿病型2例)の耐糖能が改善し,正常型の3例が悪化した.体重の変化はなかったが,空腹時インスリン値,HOMA-Rは,介入1年目より有意に低下し(p<0.001),5年間持続した.この低下は,介入前値の高い者程明らかであった.Insulinogenic Index(I.I.)は有意の変化はなかったが,耐糖能の改善した8例はいずれも介入前のI.I.≥0.4で,HOMA-Rは1.0以上低下していた.しかし,I.I.<0.4の境界型3例は,HOMA-Rが1以上低下しても耐糖能の改善はなかった.運動を中心とした生活習慣介入では,I.I.≥0.4でインスリン抵抗性の高い者程耐糖能改善効果が期待できる.
症例報告
  • 永井 香弥, 坊内 良太郎, 花井 豪, 石井 晶子, 丸山 聡子, 三浦 順之助, 岩本 安彦
    2011 年 54 巻 10 号 p. 800-805
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は75歳女性.1989年(55歳),2型糖尿病と診断され,2000年インスリン導入.2006年7月頃より血清クレアチニン(Cr)の上昇を認め,以後1.2~1.4mg/dlで推移した.2009年10月下旬,感冒を契機に食欲不振となり,インスリン注射を自己中断.10月末,当院を受診し,糖尿病性ケトアシドーシス(以下 DKA),急性腎不全(Cr 5.91mg/dl)及び細菌性尿路感染症の診断で入院.入院時,アミラーゼ138U/l,リパーゼ113U/lと上昇を認めたが,画像及び身体所見から急性膵炎は否定的であった.アミラーゼ及びリパーゼの最高値はそれぞれ第23病日478U/l,第20病日796U/lであり,その後低下傾向にあったが,両酵素とも正常化するには約3ヶ月を要した.DKA,尿素感染症は持続的静脈内インスリン投与,抗生物質にて軽快,腎機能もCr 2.27mg/dlまで改善した.DKA後に長期間にわたり膵酵素の上昇が遷延した症例は稀であり,ここに報告する.
  • 浦上 達彦, 羽生 政子, 古宮 圭, 長野 伸彦, 吉田 彩子, 鈴木 潤一, 高橋 昌里, 麦島 秀雄
    2011 年 54 巻 10 号 p. 806-809
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    基礎インスリン(BI)をデテミル(D)からグラルギン(G)に変更後インスリンの減量と血糖値改善を認めた小児1型糖尿病4例を経験した.症例1はBIをGからDに変更後に高血糖がみられ,3ヶ月後BI量は13から21Uに増加し,HbA1c(JDS値)も7.3から8.3%に上昇した.BIをG 13Uに戻したところ血糖,HbA1cの改善(7.0%)を認めた.症例2もBIをGからDに変更後高血糖がみられ,5ヶ月後BI量は9から13Uに増加し,HbA1cも7.1%から8.3%に上昇した.BIをG 9Uに戻したところ血糖,HbA1cの改善(7.1%)を認めた.症例3と4は当初からDを使用していたが,いずれもDが高容量(72, 56U)でHbA1cが高値(7.8, 9.2%)を示し,BIをGに変更した.いずれも変更後に低血糖が増加し,Gを39, 26Uと大幅に減量したが,HbA1cは7.1, 8.6%に改善した.そして全例で追加インスリンも減量した.これらの原因は定かでないが,持効型インスリン製剤が異なれば症例により効果時間や血糖降下作用が異なる可能性が示唆された.
  • 齋藤 従道, 清水 弘行, 岡田 秀一, 大曽根 勝也, 小林 剛, 橋爪 洋明, 岩崎 靖樹, 森 昌朋
    2011 年 54 巻 10 号 p. 810-813
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    55歳女性.グリメピリド3mg,ピオグリタゾン15mg内服にて血糖コントロール不良のため精査加療目的に入院した.インスリン抵抗性を認めるため,メトホルミンを追加するも血糖コントロールは改善しなかった.連続血糖測定システム(Continuous Glucose Monitoring)にて,一日血糖値の推移を連続的に観察したところ,食前,食後ともに高血糖を認めた.シタグリプチン50mgの追加投与を開始したところ,投与当日より急速な血糖降下作用を認め,終日持続した.スルフォニル尿素剤とシタグリプチンの併用による重篤な低血糖が多数報告されているが,その病態は明らかではない.同剤開始直後より,急速な血糖降下が生じることを明らかにしえた貴重な1例を経験したので報告する.
  • 福田 拓也, 貴志 明生, 長谷川 雅昭, 上古 真理, 鹿野 勉, 紀田 康雄
    2011 年 54 巻 10 号 p. 814-819
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.20歳台より高血圧,30歳台より糖尿病の内服治療を行っていたが,2009年4月以降,自己中断していた.同年10月7日意識障害にて当院に救急搬送された.血圧250/158mmHgと重症高血圧を呈し,頭部MRIにてT2強調画像及びFLAIR画像で橋を中心とした脳幹部に高信号域を認め,reversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)と診断した.RPLSは,高血圧脳症や子癇,抗癌剤投与,免疫抑制剤投与などによって頭痛・意識障害・痙攣・視力障害などを発症し,大脳半球後部,脳幹部,小脳などの椎骨脳底動脈系に広範な白質病変を呈する脳症をまとめた概念である.病変が脳幹部に限局することは稀で,brain stem variant of RPLSと呼ばれる.本症例は降圧治療を中心とした保存的加療により意識レベルの改善,視力を含めた神経学的所見の改善が得られ,特に後遺症は残さなかった.
  • 池田 大輔, 吉村 治彦, 宇野 元博, 原 豊道, 會澤 佳昭, 鈴木 章彦
    2011 年 54 巻 10 号 p. 820-824
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は22歳男性.2006年8月より2型糖尿病でメトホルミンを内服していた.2010年7月に自殺企図でメトホルミンを48000mg内服し,内服5時間後に嘔吐・下痢を伴い当院に救急搬送された.内服量が大量であり,腎機能低下(Cre 1.4)とプロトロンビン活性低下(64.4%)があり,アシドーシスの進行(pH 7.36→7.29)も認めたため,内服8時間半後より血液透析を開始した.透析後は意識障害やアシドーシスの悪化もなく救命された.今回我々はメトホルミン大量内服に対して早期から血液透析を行ない,速やかにメトホルミン血中濃度を改善し救命しえた症例を経験した.本邦ではメトホルミン大量内服の報告は少ないが今後メトホルミン最大投与量の変更により,メトホルミン大量内服やメトホルミン関連アシドーシスは増えると思われる.メトホルミン大量内服の予後と治療,特に血液透析の適応について文献的考察を加え報告する.
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