糖尿病
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症例報告
外科治療により臨床的寛解を認めた高度肥満2型糖尿病の1例
関 洋介笠間 和典中神 朋子岩本 安彦清水 英治吉川 絵梨中里 哲也園田 和子根岸 由香梅澤 昭子黒川 良望
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キーワード: 肥満, 2型糖尿病, 外科治療, 手術
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2011 年 54 巻 4 号 p. 282-287

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抄録
症例は41歳,男性.体重132 kg, BMI 52.2 kg/m2. 2型糖尿病,脂質異常症,高血圧,高尿酸血症,睡眠時無呼吸症候群を有し,肥満に対し数回の入院を含め18年にわたる内科的治療を行うも奏効しなかった.糖尿病細小血管症の進行,肥満随伴疾患の増悪を認めたため外科的治療目的で当院初診し,腹腔鏡下スリーブバイパス術を施行された.術後より経口血糖降下剤を中止したが,HbA1cは低下,5%台(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53: 450, 2010))で経過.術後6ヶ月目に施行した75 g経口ブドウ糖負荷試験では正常型を示した.術前認められた尿蛋白は術後6ヶ月目以降陰性化し,術後1年目には単純網膜症のグレードが低下,肥満随伴疾患も改善,術後14ヶ月目の体重は63.5 kg, BMI 25.8 kg/m2である.内科治療抵抗性高度肥満2型糖尿病において外科治療による減量や代謝異常改善の短期的効果は極めて良好であった.今後,外科治療の長期的効果や安全性を注意深く観察する予定である.
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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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