抄録
細菌性動脈瘤は臨床上比較的稀であるが,致死率が高く注意を要する.今回,低血糖で入院後に髄膜炎を発症し,引き続き細菌性脳動脈瘤の破裂をきたした1例を経験したので報告する.症例は78歳の男性,2型糖尿病,高血圧,脳梗塞,前立腺癌などに対し加療されていたが,食思不振による遷延性低血糖のため緊急入院となった.第10病日に発熱・膿尿を認めたため抗生剤治療を開始するも解熱せず,第17病日に項部硬直および髄液検査で多核球優位の細胞数増加を認めたため,細菌性髄膜炎と診断し治療を続行した.第20病日朝に突然呼吸が停止し,頭部CT検査にて急性くも膜下出血を認め緊急開頭動脈瘤clipping術を行い,手術所見より細菌性動脈瘤の破裂と診断した.本症例のようなcompromised hostでかつ血管壁が脆弱している糖尿病患者では髄膜炎を発症した場合に,細菌性脳動脈瘤の合併を考慮する必要があると考えられた.