糖尿病
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症例報告
糖尿病ケトアシドーシスを契機に大腿筋梗塞を発症したLeriche症候群の1例
佐藤 大介井田 昌吾本田 亘前川 聡中村 高秋
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2012 年 55 巻 4 号 p. 269-273

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抄録
症例は74歳,男性.3年前に糖尿病を指摘され内服治療開始となったが清涼飲料水の過剰摂取が目立ち受診も中断していた.受診中断直後より突然の腹痛,嘔気,食欲不振が出現し,右大腿から下腿にかけて激しい疼痛を認め救急搬送されDKA(糖尿病ケトアシドーシス;以下DKAと略す)及び大腿四頭筋梗塞(以下DMIと略す)と診断した.本患者は下腸管膜動脈直下より腹部大動脈は閉塞しており,典型的なLeriche症候群を合併しており側副血行路のみで下肢の血流が保たれていた.その状況下にDKAによる脱水症が合併し,下肢筋梗塞が発症したと考えられた.患者は糖尿病合併症を認めず,頸動脈肥厚や冠動脈狭窄所見も認めなかった.本疾患はMRIやCT画像検査によりDMIやLeriche症候群が比較的容易に診断可能なことから,今後は症例数も増加することが推測され糖尿病患者の足病変の一つとして臨床で遭遇する疾患と考えられた.
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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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