糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
患者心理・行動科学
フットケア保湿教育が糖尿病患者の足病変への認識行動に及ぼす影響
山田 ルミ稲垣 美智子北出 優華子古屋 圭介津田 真一伊藤 弘樹西澤 誠中川 淳中野 茂古家 大祐
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 55 巻 6 号 p. 392-397

詳細
抄録
【目的】糖尿病足壊疽などの重症足病変を予防するためには,壊疽の前駆所見のひとつである皮膚病変(乾燥や亀裂などの軽微な異常)への対策が重要である.そこで,保湿剤を自己塗布させる手法を用いたフットケア教育が患者の足に対する認識(意欲・関心)と行動を改善させることができるかどうかを検証することを目的とした. 【方法】糖尿病神経障害を有する糖尿病患者を対象に清潔ケアに加え保湿剤を自己塗布する実験群と清潔ケアのみを指導する対照群に群分けした.認識と行動は,質問紙による面接を行ない,介入前と比較し3か月後に改善がみられた患者を「向上」と判定し両群を比較した. 【結果】両群の性別,年齢,糖尿病罹病期間に有意差はなかった.行動は実験群で有意に改善し(p<0.01),意欲は向上傾向を示した.しかし,関心には有意差はなかった. 【考察】本研究において,保湿剤を用いた教育は糖尿病患者のフットケア行動を向上させたことが示された.この結果は,保湿教育が軽微な皮膚病変を有する時期における糖尿病患者のフットケアに役立つことを示唆している.
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top