糖尿病
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症例報告
耐糖能異常に合併し,高プロインスリン血症が低血糖発症に強く関与したと考えられるインスリノーマの1例
澁谷 高志石森 正敏伊佐治 真子増田 輝幸高橋 佳大松下 知路中村 重徳
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2014 年 57 巻 8 号 p. 646-651

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抄録
症例は63歳男性,2012年4月低血糖による意識障害にて他院に救急搬送され,改善後精査のため当院に紹介受診された.空腹時血糖は43 mg/dlと低値を示したが,75 g OGTTではimpaired glucose toleranceを呈した.腹部CTにて膵尾部に腫瘤を認め,インスリノーマを疑ったが,Fajans指数などインスリン自律分泌指標を満たさなかった.一方プロインスリン値は70.7 pmol/lと高値であった.選択的動脈内カルシウム注入試験にて脾動脈からの注入により,IRIの有意な上昇を認め,膵尾部のインスリノーマと診断,膵尾部切除術が施行された.術後空腹時血糖は上昇,IRI値著変なくプロインスリン値は6.7 pmol/lと著明に低下し低血糖症状は消失した.本症例では,IRIの上昇は軽微であったが,高プロインスリン血症が低血糖発症に関与したと考えられた.
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© 2014 一般社団法人 日本糖尿病学会
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