糖尿病
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57 巻, 8 号
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特集
糖尿病神経障害の最近の進歩
原著
診断・治療(食事・運動・薬物)
病態・代謝異常・合併症
  • 富田 益臣, 壁谷 悠介, 沖杉 真理, 川﨑 麻紀, 香月 健志, 及川 洋一, 島田 朗
    2014 年57 巻8 号 p. 620-627
    発行日: 2014/08/30
    公開日: 2014/09/04
    ジャーナル フリー
    目的:糖尿病患者の血清総ビリルビン濃度とPADの関連について検討する.方法:糖尿病患者1013名の血清総ビリルビン濃度を測定し,PADの指標であるABIの値により0.90以下,0.91-1.00,1.01以上の3群にわけ横断研究を行った.またABIが1.00以下に寄与する因子を解析した.結果:ABI値が0.90以下,0.91-1.00,1.01以上を示す患者の割合は58名,79名,876名であり,0.90以下の群では年齢,糖尿病罹病期間,動脈硬化性疾患合併率,脂質異常症合併率が有意に高く,血清総ビリルビン濃度,eGFRは有意に低下していた.ABI値が1.00以下に寄与する因子は年齢,動脈硬化性疾患の合併率,糖尿病網膜症の合併,脂質異常症合併率とともに,血清総ビリルビン濃度(0.50 mg/dl以下)が有意な背景因子であった.結論:PADの早期発見のために血清総ビリルビン濃度が有用である.
症例報告
  • 大濱 俊彦, 川上 恵美子, 佐藤 愛, 齋藤 利比古, 田中 聡, 勝盛 弘三
    2014 年57 巻8 号 p. 628-633
    発行日: 2014/08/30
    公開日: 2014/09/04
    ジャーナル フリー
    遠位尿細管性アシドーシス(dRTA)に糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を合併した1型糖尿病の1例を経験した.症例は50歳,男性.9歳でdRTAと診断,加療され糖尿病の指摘はなかった.2013年9月に口渇,多尿,体重減少を認め,随時血糖値421 mg/dl,尿中ケトン体3+,HbA1c(NGSP値)11.9 %,IA-2抗体陽性,インスリン自己抗体陽性,動脈血液ガス分析にてpH 7.228,HCO3 9.1 mmol/lとDKAの診断となった.初診時よりAG増加型代謝性アシドーシスとAG正常型代謝性アシドーシスが混在し,DKAの治療後,dRTAによる高Cl血性代謝性アシドーシスが顕在化した.尿細管機能障害による腎性カリウム喪失,酸排泄障害を認め,DKAの治療経過に注意を要した.既往にdRTAがありDKAを契機に1型糖尿病と診断された症例は極めて稀なため,文献的考察を加えて報告した.
  • 橋本 陽子, 明比 祐子, 村瀬 邦崇, 永石 綾子, 竹之下 博正, 工藤 忠睦, 田邊 真紀人, 野見山 崇, 濱田 義浩, 柳瀬 敏彦
    2014 年57 巻8 号 p. 634-639
    発行日: 2014/08/30
    公開日: 2014/09/04
    ジャーナル フリー
    症例は52歳女性.200X年4月より早朝に強い空腹感,いらいら感を自覚し食事摂取により改善していた.同年8月起床時に意識障害が出現,その際の血糖41 mg/dlで入院.身長154.1 cm, BMI 16.7 kg/m2, FPG 76 mg/dl, F-IRI 2.7 μU/ml, 75 g-OGTTでは血糖正常,血糖応答性のあるインスリン分泌を認めたが,プロインスリン(PI)は109 pmol/l(1.3~6.0 pmol/l)と著明高値を示した.絶食16時間後に低血糖が誘発され,CT上膵尾部に径10 mmの造影される腫瘤を認め,選択的動脈内Ca注入法でも同局在が確認され,インスリノーマと診断.膵頭部温存膵尾部切除術を施行した.本例では病理学的に悪性所見はなく術後4年間再発もない.本邦でPI分泌優位の症例報告は過去3例と少なく,中でも本例はPI/IRIが極めて高値であり,希少な症例と考えられる.
  • 堂地 ゆかり, 出口 尚寿, 有村 愛子, 奥 寛子, 篠原 和也, 荒田 仁, 高嶋 博, 西尾 善彦
    2014 年57 巻8 号 p. 640-645
    発行日: 2014/08/30
    公開日: 2014/09/04
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性.59歳時に血糖500 mg/dlと,初めて高血糖を指摘され経口糖尿病薬を開始される.61歳時よりインスリン治療をうける.その後,尿中C-ペプチド5 μg/dayと低下を認め,HbA1c8-9 %で経過していた.70歳時,左上下肢の脱力,歩行時ふらつき,構音障害を認め入院.頭部MRIにて基底核にT1高信号域を認めた.血糖コントロールにより,上下肢の不全麻痺は軽快し,MRI異常所見も消失したが,小脳失調症状は改善しなかった.血清抗GAD抗体37000 U/ml,髄液抗GAD抗体1700 U/mlと高値を認めた.最近,抗GAD抗体が原因と考えられる小脳失調症の報告が散見され,その多くが糖尿病を合併している.本症例も抗GAD抗体が原因の小脳失調症と考えられた.小脳失調発症時,血糖コントロールが不良である例も多く,血糖高値との関連も疑われた.
  • 澁谷 高志, 石森 正敏, 伊佐治 真子, 増田 輝幸, 高橋 佳大, 松下 知路, 中村 重徳
    2014 年57 巻8 号 p. 646-651
    発行日: 2014/08/30
    公開日: 2014/09/04
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性,2012年4月低血糖による意識障害にて他院に救急搬送され,改善後精査のため当院に紹介受診された.空腹時血糖は43 mg/dlと低値を示したが,75 g OGTTではimpaired glucose toleranceを呈した.腹部CTにて膵尾部に腫瘤を認め,インスリノーマを疑ったが,Fajans指数などインスリン自律分泌指標を満たさなかった.一方プロインスリン値は70.7 pmol/lと高値であった.選択的動脈内カルシウム注入試験にて脾動脈からの注入により,IRIの有意な上昇を認め,膵尾部のインスリノーマと診断,膵尾部切除術が施行された.術後空腹時血糖は上昇,IRI値著変なくプロインスリン値は6.7 pmol/lと著明に低下し低血糖症状は消失した.本症例では,IRIの上昇は軽微であったが,高プロインスリン血症が低血糖発症に関与したと考えられた.
地方会記録
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