2020 年 63 巻 8 号 p. 534-538
症例は66歳女性.前日に嘔気・嘔吐出現,翌日当院を受診した.初診時血糖値719 mg/dL,HbA1c 5.9 %,動脈血ガス分析でpH 7.258,尿中ケトン(3+)を示し,糖尿病性ケトアシドーシスと判断した.尿中Cペプチドは測定限界以下であり,本症例は劇症1型糖尿病の診断基準を満たしていた.入院時の抗GAD抗体は(ELISA)185.0 U/mLで陽性と判定した.HLAタイピング(PCR-SBT法)ではハプロタイプDRB1*09:01-DQB1*03:02およびハプロタイプDRB1*08:02-DQB1*03:02を有しており,DRB1*09:01-DQB1*03:02は日本人の劇症1型糖尿病患者では珍しいHLAハプロタイプであった.