糖尿病
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Affinity Chromatographyの消化管グルカゴンの精製への応用
田中 亮一島 健二沢崎 憲夫垂井 清一郎
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1974 年 17 巻 3 号 p. 207-214

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抄録
従来のゲル戸過による消化管グルカゴンの精製では, 分子量の類似した他の消化管ペプチドの混入は避けられない.そこで, 我々は抗原抗体反応を利用したaffinity chromatographyを用い, 消化管グルカゴンの精製を試みた.CNBr活性化Sepharose4Bにグルカゴン抗体を結合せしめ, 抗グルカゴン抗体-Sepharose4B結合物を作製し, まず本結合物とグルカゴンとの結合の特異性を検討した.抗グルカゴン抗体-Sepharose 4B結合物columnに125I-glucagon apply後, 非標識グルカゴン含有pH8.6, 0.01M Tris HCl bufferで溶出すると, pHが不変であるにもかかわらず標識グルカゴンの明らかな溶出を認め, 非標識インスリン, セクレチン, パンクレオザイミンを添加しても, 標識グルカゴンのpeakは出現しなかった.また同じcolumnに125I-HGHをapplyしても, 殆どの放射能は最初に洗い出された.また対照として抗家兎γ-グロブリン山羊血清より得たグロブリン分画を, CNBr活性化Sepharose 4Bに結合せしめた抗家兎γ-グロブリン山羊血清Sepharose4B結合物columnには, 標識グルカゴンは結合しなかった.次いで, 抗グルカゴン抗体Sepharose4B結合物columnを用い, 豚小腸粗抽出物よりの消化管グルカゴン精製に本法を応用した.その結果, 膵グルカゴン相当量で表現して約10倍に精製された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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