糖尿病
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17 巻, 3 号
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  • 池田 義雄, 斉藤 浩, 尾林 紀雄, 森本 泰雄, 本吉 光隆, 松浦 靖彦, 種瀬 富男, 阿部 正和
    1974 年 17 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    純化されたブタのproinsulin (Eli Lilly Co.) の生物活性が, Ploirsulin (PI) それ自身によるものなのか, それともPIがinsulin (I) に変換して初めてその効果を発揮されるものかについては議論が多い.ここでは広範囲の蛋白分解抑制因子であるKunitz pancreatic trypsin inhibitor (KPTI) を用いて, in vivoとin vivoの両面から, PIの生物活性におよぼすKPTIの影響を検討した.
    実験にはDonryu系雄性ラットを用いた.in vivoにおける, PIの血糖下降作用におよぼすKPTIの影響は, 腹腔内注射により, PI単独投与群とPI+KPTI併用投与群とで比較した.PI単独の場合の血糖下降に比較して, 併用投与のそれは有意に少なかった (P<0.01).in vivoにおいてはPIがIに変換して作用する可能性を示唆する成績である.
    これに対して, PIによるin vivoでのラット横隔膜, 副睾丸脂肪組織へのglucose uptakeに対してはKPTIの添加はなんら影響しなかった.これはin vivoでのPIからIへの変換の可能性は極めてうすいという成績である.
    以上により, PIの生物活性について考察した.
  • 伊藤 千賀子, 野間 興二, 内藤 泰雄, 野島 直樹, 川手 亮三
    1974 年 17 巻 3 号 p. 200-206
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    oxyhyperglycemiaと糖尿病の関係を検討する目的で, 50g OGTTでoxyhyperglycemiaを呈したもののうち, 胃切除歴・肝機能異常・内分泌疾患がなく, 3~9年にわたって経年観察を行なった70例と, 1~8年にわたって経年観察を行なった胃切除者25例について, GTTの経年成積・血中NEFA・IRI値を比較検討した.非胃切除者では経年期間が長くなるにつれて糖尿病型へ移行するものが多い傾向にあり, 1~2年後には4.2%, 3~4年後には24.6%, 5~6年後には20.3%, 7~9年後には40.0%が糖尿病型へ移行しており, とくに肥満者では45.5%が経年後糖尿病型へ移行していた.またoxyhyperglycemia 73例のIRI 30分値は41.5±3.9μU/mlで正常者の48.1±3.9, μU/mlよりもむしろ低く, IRI/BS 30分値は0.28±0.03で正常者の0.55±0.05に比して有意に低値を示していた.一方, 胃切除者のoxyhyperglycemia例では, 経年後糖尿病型へ移行したものは1例もなく, 血中IRI 30分値は86.8±15.4μU/mlと高反応を呈し, μIRI/BS 30分値は0.62±0.11で, 正常者の値と近似していた.糖負荷後の血中NEFA値は胃切除者と非胃切除者の間に有意の差はみられなかった.
    以上の成積より, 胃切除後のoxyhyperglycemiaと, 非胃切除者のoxyhyperglycemiaとの病態は明らかに異なったものであり, 胃切除者のoxyhyperglycemiaは早期糖尿病とは余り関係がないが, 非胃切除者のoxyhyperglycemiaの中には早期糖尿病が高率に含まれていると考えられた.
  • 田中 亮一, 島 健二, 沢崎 憲夫, 垂井 清一郎
    1974 年 17 巻 3 号 p. 207-214
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    従来のゲル戸過による消化管グルカゴンの精製では, 分子量の類似した他の消化管ペプチドの混入は避けられない.そこで, 我々は抗原抗体反応を利用したaffinity chromatographyを用い, 消化管グルカゴンの精製を試みた.CNBr活性化Sepharose4Bにグルカゴン抗体を結合せしめ, 抗グルカゴン抗体-Sepharose4B結合物を作製し, まず本結合物とグルカゴンとの結合の特異性を検討した.抗グルカゴン抗体-Sepharose 4B結合物columnに125I-glucagon apply後, 非標識グルカゴン含有pH8.6, 0.01M Tris HCl bufferで溶出すると, pHが不変であるにもかかわらず標識グルカゴンの明らかな溶出を認め, 非標識インスリン, セクレチン, パンクレオザイミンを添加しても, 標識グルカゴンのpeakは出現しなかった.また同じcolumnに125I-HGHをapplyしても, 殆どの放射能は最初に洗い出された.また対照として抗家兎γ-グロブリン山羊血清より得たグロブリン分画を, CNBr活性化Sepharose 4Bに結合せしめた抗家兎γ-グロブリン山羊血清Sepharose4B結合物columnには, 標識グルカゴンは結合しなかった.次いで, 抗グルカゴン抗体Sepharose4B結合物columnを用い, 豚小腸粗抽出物よりの消化管グルカゴン精製に本法を応用した.その結果, 膵グルカゴン相当量で表現して約10倍に精製された.
  • 伊東 三夫, 中野 昌弘, 近藤 重信, 森 勢伊, 佐々木 悠, 藤島 友枝
    1974 年 17 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    食事寮法のみで良好なコントロールがえられた男性糖尿病患者93例について, 入院前のアルコールおよび食事摂牧量を聴取して, 摂取カロリー量と体重との関係について調査した.
    1) アルコール摂取量について: 1日平均アルコール摂取カロリーが, 199Cal以下のもの29例, 200~399Calのもの28例, 403~599Ca1のもの21例, 600~799Calのもの4例, 800Cal以上のものは11例であった.
    2) アルコール摂取熱量により3群 (0~199Cal, 200~499Ca1,500Cal以上) に分けて, 各群の食事摂取熱量, 肥満度を比較すると, 各群間でいずれも差はみられなかった.
    3) 食事のみによる摂取熱量を標準体重kg当り34Cal以下, 35~44Cal, 45Cal以上の3群に分けて比較すると, 各群間でアルコール摂取熱量には差がなく, 肥満度は食事摂取量が多い群ほど高値であった.
    以上の成績より, アルコールの熱量は体重に影響をおよぼさないと考えられ, 生体内における利用度は他の食品の熱量のそれと同一とは考え難い.
    アルコールは耐糖能の悪化をおこす場合も知られており, 問題は複雑であるが, アルコールのエネルギー代謝の面からみた場合, 患者の食事指導にあたって3その取扱いには今後の検討が必要と考えられる.
  • ぶどう糖静脈内投与時のインスリン反応に及ぼす各種薬物の影響
    清野 裕
    1974 年 17 巻 3 号 p. 221-231
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    成人型発症糖尿病者にぶどう糖を静脈内に投与し血漿インスリンを測定すると殆どすべての例でインスリン初期分泌の著しい低下が認められた.このようなぶどう糖に対するインスリン反応の低下は一次性糖尿病の特徴であると考えられる.次いでこのぶどう糖に対するインスリン分泌の異常が種々の薬物によって改善されるか否かについて検討を加えた.いずれの薬物も60分間点滴静注し, 点滴終了10分前に静脈内ぶどう糖負荷試験を行ない, ぶどう糖単独負荷試験の場合とインスリン反応を比較した.その結果phosphodiesteraseを阻害するtolbutalnide, aminophylline, 直接adenylcyclaseを活性化するglucagon, またadrenergic receptorを介してcyclic AMP濃度を上昇させるisoproterenol, phentolamineなどの前処置を行なったところ, いずれの場合もぶどう糖によるインスリン初期分泌の改善がみられた.またarginineの前処置によってインスリン反応は著しく改善された.このように軽症糖尿病者において細胞内cyclic AMPのレベルを上昇させるとされている薬剤, およびアミノ酸の前処置によってぶどう糖に対するインスリン初期反応が明らかに改善されるのが認められた.
    これらの事実は今後成人型糖尿病の治療可能性を示唆するのみでなく, 糖尿病におけるインスリン分泌異常の本態を究明する上にも興味ある知見と考える.
  • アンケート調査による
    三原 俊彦, 平田 幸正
    1974 年 17 巻 3 号 p. 232-239
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昭和43年・44年・45年の3年間に死亡した糖尿病患者の死因について, 全国の官公立病院に対しアンケート調査を行ない, 生前の糖尿病の程度あるいは空腹時血糖値の程度と死因との関係について検討した.生前の糖尿病の程度あるいは空腹時血糖値の記載があった症例は1,843例あり, 糖尿病の程度・空腹時血糖値と死因との間に密切な関係がみられた.つまり, 主治医により軽症と判断された「軽症群」における死因の第1位は脳血管障害であったのに対し, 中等症以上と判断された「中等症以上群」における死因の第1位は糖尿病死 (糖尿病昏睡および糖尿病腎症を糖尿病死とした) であった.また,「血糖160mg/dl未満群」の死因の第1位は糖尿病死および脳血管障害であり,「血糖160mg/dl以上群」の死因の第1位は糖尿病死であった.
    糖尿病患者の死因別死亡者数を, 昭和44年に死亡した全国一般住民の死因別死亡統計をもとにして算出した対照群の死因別死亡者数と比較してみると,「中等症以上群」においては, 糖尿病死とともに虚血性心疾患による死亡者が, 対照群より有意に多く, さらにこれら「中等症以上群」のうち, 5年以上罹患例について, 性別, 年齢にマッチさせたインスリン治療群と内服剤治療群との死因を比較すると, インスリン群では腎症内服群では虚血性心疾患, 脳血管障害, 悪性新生物による死因が大であることが注目された.
  • 大根田 昭, 松田 精, 丸浜 喜亮, 佐藤 宗彦, 山形 敞一, 後藤 由夫, 海野 清
    1974 年 17 巻 3 号 p. 240-247
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    悪性インスリノーマに対してStreptozotocinを投与し, 臨床症状の改善がみられた1例を経験したので報告する.
    患者は54歳の男子で.1964年に最初の低血糖発作がみられ, 以来時折同様の発作があったが.1969年12月に症状が増悪して, 山形県立中央病院に入院した.ここで悪性インスリノーマの診断をうけ, 東北大学山形内科に転科した.入院時, 心は著明に肥大し, 収縮期雑音を聴取し, 肝は5横指触知し, 左季肋部に腫瘤を触れた.空腹時血糖は40mg/dl以下を示し, 血漿インスリンは常時150μU/ml以上を呈した.動脈撮影法および腹腔鏡検査によって膵腫瘍とその肝転移が証明された.
    そこでStreptozotocinを1週1回2gの静注投与を開始した.この投与後に, 低血糖の頻度が少なくなり, 必要とするぶどう糖の量も減少した.これと共に腹部の腫瘤は縮少し, 血中インスリンも約60μU/mlと低下しStreptozotocinは有効であった.Streptozotocinを投与すると毎回悪心, 嘔吐がみられたが, 投与を中止するには至らなかった, また小量の凝血塊が尿に混ずることがあったが一過性であった.Streptozotocin投与後は血漿中のbigインスリンが減少した.退院後2年を経過している現在では全身状態も良好で低血糖発作は殆どない.
  • 滝 正彦, 伊藤 新, 渡辺 幸一, 小林 正和, 田村 恂, 渥美 久, 山本 敏雄, 長谷 克
    1974 年 17 巻 3 号 p. 249-257
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    若年性糖尿病には昏睡発症後, 臨床的に緩解を示す症例があるが, 耐糖能が正常化するいわゆる完全緩解に至る例は比較的稀であり, このような緩解期における耐糖能の改善とインスリン分泌の問題, あるいは成長ホルモンの関与に関しては種々の意見がある.
    我々は, 発症前に肥満があり, 突然糖尿病性昏睡をもって発症し, その後体重の減少とともに, 完全緩解した2症例を経験し, 緩解期あるいは増悪期における耐糖能と血中インスリン, 成長ホルモンその他につき検討した.
    発症時にはインスリン抵抗性を示し, 発症の要因として過食, 肥満が考えられ, 緩解の要因としてはその是正が考えられる.完全緩解時のインスリン分泌動態に関しては, 耐糖能の正常化とともにインスリン分泌能の改善を伴うとは限らず, これらの間に密接な関係はない, しかし, 正常なインスリン分泌能を示すものは, 然らざるものに比して緩解の持続期間が長い.空腹時成長ホルモンはいずれも正常値を示したが, 各種負荷試験による分泌反応には一定の傾向は認められず, 糖尿病の緩解あるいは増悪におよぼす成長ホルモンの役割についての結論は得られなかった.
  • 1974 年 17 巻 3 号 p. 271-282
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 17 巻 3 号 p. 283-304
    発行日: 1974/05/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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