食事寮法のみで良好なコントロールがえられた男性糖尿病患者93例について, 入院前のアルコールおよび食事摂牧量を聴取して, 摂取カロリー量と体重との関係について調査した.
1) アルコール摂取量について: 1日平均アルコール摂取カロリーが, 199Cal以下のもの29例, 200~399Calのもの28例, 403~599Ca1のもの21例, 600~799Calのもの4例, 800Cal以上のものは11例であった.
2) アルコール摂取熱量により3群 (0~199Cal, 200~499Ca1,500Cal以上) に分けて, 各群の食事摂取熱量, 肥満度を比較すると, 各群間でいずれも差はみられなかった.
3) 食事のみによる摂取熱量を標準体重kg当り34Cal以下, 35~44Cal, 45Cal以上の3群に分けて比較すると, 各群間でアルコール摂取熱量には差がなく, 肥満度は食事摂取量が多い群ほど高値であった.
以上の成績より, アルコールの熱量は体重に影響をおよぼさないと考えられ, 生体内における利用度は他の食品の熱量のそれと同一とは考え難い.
アルコールは耐糖能の悪化をおこす場合も知られており, 問題は複雑であるが, アルコールのエネルギー代謝の面からみた場合, 患者の食事指導にあたって3その取扱いには今後の検討が必要と考えられる.
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